広大地判定|不動産鑑定事務所 よつば鑑定

広大地における合理的な分割想定手順

下記記事は、平成22年9月から10月にかけて、弊社代表が税理士新聞に寄稿したものです。
税理士に向けた内容のものですが、広大地に関する情報として下記に掲載します。


広大地の判定については様々な論点がありますが、とりわけ重要な「分割想定の合理性」について説明します。
広大地として認められるためには、公共公益的施設地(道路潰れ地)の負担が必要と認められるという要件があります。そこで、この公共公益的施設地(道路潰れ地)が必要か否か、逆から言えば、開発道路を入れないで旗竿地を想定することが合理的か否かについての判定手順をお答えします。

広大地判定における3ステップ

なお、こちらの説明は具体的分割想定の段階であるので、すでに地域の標準的な宅地の面積については判明していることを前提としています。

(1)第1ステップ:物理的チェック

宅地分割を想定する場合、まず最初に検討しなければいけないことは、そもそも分割地それぞれにおいて物理的に建物を置くことが可能か否かです。
旗竿地は、建物建築が可能な「有効宅地部分」と、通路にしかならない「路地状地部分」の2要素から構成されています(図1)。
この有効宅地部分に建物が建てられるだけのスペースがないならば、いくら面積が標準的な宅地と同じだからといって、それは現実的な想定ではありません。
例えば、図2のような分割を想定したとします。分割地③~⑤は旗竿地想定です。このとき、それぞれの有効宅地部分に建物を物理的に置くことが可能でしょうか?実は、それには有効宅地部分の縦横幅が何mあるかが重要となります。仮にこの有効宅地部分の面積が100㎡あったとしても、縦10m×横10mと、縦2m×横50mでは、面積は同じでも、後者では建物を物理的に置くことができないのです。

旗竿地 分割想定図

(2)第2ステップ:法的チェック

物理的に建物を置くことが可能であることを確認したら、次はそれが合法的に可能かどうかの検討をします。建物建築を想定するに際しては、法令遵守を前提とすることはいうまでもありませんが、旗竿地想定において特に注意が必要なのは、条例と開発指導要綱です。
例えば、東京都建築安全条例を見てみると、路地状部分の長さが20mを超える場合には、路地状部分の間口は最低でも3mなければ建物建築は認められないことがわかります。したがって、この条例を知らずに、路地状部分の間口を建築基準法上の接道要件を満たす最低間口である2mとした場合、これだけでその想定は実現不可能ということになってしまうのです。
さらに、開発指導要綱の確認も怠ってはいけません。開発指導要綱には最低敷地面積の規定があるのが一般的で、地域によっては、旗竿地における有効宅地部分の最低面積を規定しているものもあります。これを知らずに当該面積を下回った想定をしてしまうと、それは合理的な分割想定とはいえなくなるのです。

(3)第3ステップ:経済的チェック

法的にも可能であることが確認できたら、最後に経済合理性の検討を行います。宅地分割における経済合理性とは、『開発道路を入れたうえで区画割りした場合における事業利益と、開発道路を入れないで区画割りした場合における事業利益を比較検討し、より事業利益が大きくなる方を選択する』ことです。これには、不動産鑑定評価基準が定める開発法に基づく価格を比較するというやり方もあります。
なお、開発道路を入れると、①造成費が高くなる、②分譲地面積は小さくなる、といったデメリットがある反面、①開発エリアの品等(グレード)が上がる、②分割地が整形地となることから分割地の単価は高くなる、③旗竿地想定よりも早期売却が見込めみやすくなるといったメリットがあります。したがって、どちらの開発想定が結果として経済合理性が高いのかは、土地の形状や規模等により大きく左右されるため、一概にはいえないのです。

まとめ

以上の手順を踏まえてはじめて合理的な分割想定が可能となります。とかく「旗竿地想定ができるから広大地非適用である」という発想が課税庁側にも先行しがちですが、これは物理的チェック及び法的チェックのみにとらわれている場合が多いと思われます。しかし、物理的チェック及び法的チェックのみをもってして「経済合理性」を証明できるものではないということを、不動産鑑定士として声を大にして言いたいのです。

→税理士の方は合わせてこちらもお読みください。

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