地代は一度その内容で契約してしまうと次の更新時まで変更できないと思っていませんか?
けれども法律では、「地代等が、(中略)経済事情の変動により、又は近傍類似の土地の地代等に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって地代等の額の増減を請求することができる。(ただし、一定の期間地代等を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。)」と定めています。(借地借家法第11条)
地代というのは、経済事情等が変わったことなどを理由に、上げることも下げることも要求することが法律で認められているのです。
こんな場合に① 賃貸人の立場から▶▶現在賃貸中の地代を値上げしたい
こんな場合に② 賃貸人の立場から▶▶現在賃貸中の土地について、賃借人から値下げを要求された
隣りの土地の方が安いとか、周辺の相場の方が安いとの理由から、賃借人に「その値段水準まで下げて」と言われて困ったことはありませんか。
賃借人としては安いに越したことはないですし、賃料として目に見える「新規地代(市場賃料)」を要求してくることもあります。賃借人の情に訴えられたり、関係がこじれるのを恐れて「分かった」と了解してしまうのも間違いではありませんが、「新規地代(市場賃料)」の要求は原則的に法的根拠がないので「NO」を突きつけてもいいのです。
この場合、「新規地代(市場賃料)」と「継続地代」は違うのだ、という専門家の意見と、その場合の適正な継続地代が分かる評価書が有効になるのです。
こんな場合に③ 賃借人の立場から▶▶現在賃貸中の地代を値下げしたい
インターネット等で不動産情報を調べる方は多いと思いますが、「隣りの地代の方が安く募集している」「周辺の地代相場の方が安い」といって、現在賃貸している地代をその値段で交渉することは、実は間違っています。「すでに契約関係にある場合の改定賃料(継続地代)は、新たに契約を締結する場合の市場賃料(新規地代)とは異なる」のです。先ほどの例で言えば、隣りの土地が借りている土地よりも安い地代で募集していても、賃借人が「隣りと同じ地代にしろ」というのは原則として法的根拠にはならず、賃貸人は「NO」を突きつけることが出来るのです。
土地の賃貸借契約はとても長期間に及びます。情に訴えて、無理矢理賃貸人側の了解を取ったとしても、その後の関係が悪くなったら元も子もありません。地代交渉には、相手を納得させるだけの根拠が必要なのです。
こんな場合に④ 賃借人の立場から▶▶現在賃貸中の土地で、賃貸人から値上げを要求された
一方的に値上げ要求されて「はい、分かりました。」と答える人は少ないでしょう。ましてや、その値段に根拠がない場合はなおさらです。継続地代は、一般的になじみが薄く、目に見えて分かるものでもありません。
専門家によって「本当に、この値上げ金額は適正なのか」「適正な継続地代はいくらなのか」を明らかに出来れば、賃貸人を説得できる根拠になります。
上記4つの場合で恐ろしいのは、うまく交渉がまとまらなかった場合、交渉決裂で済めばいいのですが、最悪、訴訟に発展するケースもあることです。
いったん相手に渡した資料は、その後の裁判等においても証拠資料となってしまいます。したがって、専門家にお願いする際も、不動産調査報告書や簡易鑑定評価書ではなく、先までを見据えた「一般鑑定評価書」の方が安心なのです。
そのほかの地代に関して
・(賃貸人の立場から)新たに土地を貸すための適正な地代を知りたい
・(賃借人の立場から)土地を借りるのに、提示された地代が適正か知りたい
このように地代を設定するための「資料」として評価書等をご希望の場合は、地代改定の場合とは異なり、訴訟に発展する可能性は低いので、一般鑑定評価書よりも安価な不動産調査報告書、もしくは不動産簡易鑑定評価書をおすすめします。
賃料評価と費用について
継続賃料の評価というのは、実は鑑定評価の中で最も高額な報酬になってしまいます。
でも、それは作業量が最も多いからなのです。
継続賃料の評価は、単に現在の市場賃料を調べるだけのものではなく、過去の経緯を検討して、過去の賃料との関係から現在の適正な改定賃料額を導き出すというとてもボリュームのある作業をしなければなりません。
このような手順を踏んでこそ、説得力のある合理的な理由を提示できるのです。
そこで、この高額となってしまう報酬については、次のように考えてはいかがでしょうか。
仮に鑑定評価に40万円の費用が必要だったとします。
しかし、その鑑定評価書が功を奏して月額10万円の賃料値下げが実現したならば、4ヶ月で元が取れ、その後は数年にわたって値下げ分のメリットを受取り続けることができる。
つまり、鑑定報酬は一時的に支払う大金ではあるけれども、その効果は今後複数年にわたるものである。
このように、賃料減額分というメリットを考慮するならば、いい加減な交渉ではなく、しっかりした根拠をもって、しっかり適正賃料への改定をしてもらう方がメリットが大きいのではないでしょうか。
依頼に際して注意すべきこと
継続賃料評価を依頼しようとお考えになっている場合、次の点をぜひお考えください。
これらは継続賃料評価特有の特性ですので、うっかりしていると、後の祭りになってしまいます。
継続賃料評価の実績(一部)
府中市(東京) 地代
新宿区(東京) 事務所賃料
中央区(東京) 事務所賃料
浪速区(大阪) 事務所賃料
品川区(東京) 事務所賃料
千代田区(東京) 事務所賃料
港区(東京) 事務所賃料
中野区(東京) 事務所賃料
小田原市(神奈川)、つくば市(茨城) 店舗賃料
名古屋市(愛知) 事務所賃料
南区(神奈川) 地代
中央区(大阪) 事務所賃料
戸田市(埼玉) 倉庫賃料
南区(神奈川) 地代
ほか、多数の賃料評価で、賃料交渉にお役立ていただいております。
Q.地代の相場を調べたいのですが。
A.残念ながら、地代には相場というものはありません。
というのも、土地の賃貸借自体が珍しく、いわゆる「相場」を形成するほどの賃貸借契約の締結がないのです。
Q.地代の相場を知るための参考指標などはあるのですか?
A.残念ながら、地代を知る参考指標はありません。
巷では固定資産税の何倍とか、路線価の何%など、簡便法と言われる計算式がありますが、あまり意味はありません。ましてや、「土地に関する価格」では、土地の個性が強く反映されます。仮に相場があったとしても、それを知ったところで、その土地の向きや土地の形状、土地の規模や最有効使用は・・・など様々な要因が組み合わさるのが地代ですから、個別性がとても強く、いくら隣の土地でも同額の地代になることはありません。
適正な地代を求めることは、不動産鑑定士にしかできないことであり、その不動産鑑定士でも簡単に作業できるものではないのです。
Q.不動産業者がエリア別の平均土地価格を掲載しているように、エリア別の平均地代を知る方法はありますか?
A.個別の地代については情報がなく、エリア別でも地代のおおよその価格範囲というものは分かりません。
不動産業者が出している平均の土地価格というものは、各土地の売出価格なり、成約価格なりの情報があってこそ成り立つものです。地代については情報開示事例が少なく、住宅を建てるために使用するのか、店舗を建てるために使用するのかなどの用途によって違ったり、その土地の向きや形状といった個別性も強く反映されるため、価格範囲が出せないのです。
地代の交渉に際しては、不動産鑑定評価書を根拠にした交渉をおすすめします。
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