鑑定評価書にはいろいろな使い方があり、状況によって費用負担が異なります。
ここでは典型的なパターンをご紹介致します。
価格交渉を有利に展開したいならば、少なくとも自分は適正な価格を把握しておくことが何よりも重要です。この「適正な価格」を基準にして価格交渉に臨めば、相手の動きが手に取るように分かります。
なお、売買相手には鑑定評価書は見せない方が、より良い条件を引き出せる場合もあります。この場合評価書は自己名義で発行し、費用は全額自己負担となります。
借地関係を清算するために土地の所有権者が借地人に買取を申し出る場合があります。このような、すでに旧知の間柄にある場合、交渉決裂により関係が悪化することのないよう、できる限り良好に清算したいと望むものです。それならば、「鑑定評価額による適正な金額で清算しましょう」するのが最も円満な解決方法となります。
このように、両者からの申し出による使い方の場合には、評価書は売買当事者の名義(連名)で発行し、費用を売買当事者で折半することも多いです。
事前に交渉をしたところ、お互い自己主張をするばかりで、折り合いがつかない状況になってしまった。そこで、第三者としての意見である鑑定評価額によって決着しようという場合があります。
このように両者からの仲裁的な使い方の場合には、評価書は賃貸借当事者の名義(連名)で発行し、費用は賃貸借当事者で折半することが多いです。
個人の資産を法人へ売却するスキームにおいては、適正価格の証明のために鑑定評価書を活用するのが一般的です。
この場合には、経費計上の容易さから、法人名義で発行し、費用は全額を法人の負担とすることが多いです。