「相手方から提出された評価書について、セカンドオピニオン意見書の作成は可能か」と言ったお問い合わせがあります。
その場合の注意点としては、「手元にあるのは不動産鑑定評価書なのかどうか」「適正価格を証明することが目的なのかどうか」を確認します。
まず「手元にあるのは不動産鑑定評価書なのか」については、その資料の表紙で確認出来ます。よくあるのは、不動産鑑定評価書ではなく「不動産調査報告書」だったり、「簡易鑑定評価書」だったという場合があります。どちらも鑑定評価基準に則っていない資料になるので、その場合セカンドオピニオン意見書作成は行えません。
また「適正価格を証明することが目的か」については、少し複雑です。具体的に例を挙げると「この評価書で出されている評価額よりも高い(低い)はずだ」「この評価書で出された評価額は間違いで、○○円が適正だ」といった内容を求めている場合は、セカンドオピニオン意見書作成は行えません。評価書に書かれている金額が高いか低いかを言及するには、目安となる適正価格がないことには言及することは出来ず、ではその適正価格はどうやって求めるかと言えば、新たに鑑定を行うことでしか求めることは出来ません。ですので、このような場合はセカンドオピニオン意見書作成ではなく、一般鑑定などの鑑定評価業務となるのです。
では、セカンドオピニオン意見書はどのようなもので、どうやって活用すればいいのでしょうか。
不動産鑑定評価は、「合理性」をもってしかその評価結果の正しさを証明出来ません。つまり、「不動産鑑定評価書の内容が合理的である以上、その結果である鑑定評価額は正しい」といえるのです。セカンドオピニオン意見書は、第三者の視点で評価書の内容を確認し、その「合理性」をチェックするものです。
一番力を発揮するのは、「裁判所に提出する前の事前チェック」です。提出前の評価書であれば、不合理な部分が見つかっても訂正が可能です。提出前に不合理な部分を潰すことで、相手方からの反論を少なくすることが出来ます。
反対に、相手方から出された評価書の場合、例えば「この評価書は合理性に欠けている」と意見することは出来ますが、評価額への意見ではないため、新たに鑑定評価を行うきっかけを求めるには良いかと思います。もちろん「この評価書は合理性がある」という意見結果もありえますので、必ずしも鑑定評価を望めるということにはならない点には注意が必要です。
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