鑑定報酬はできる限り事前に確認したいものです。ここでは、弊社の鑑定費用についてはもちろん、一般的にもわかりにくいと言われている鑑定評価の報酬のお話しをいたします。
弊社では、お客様のニーズに応えるだけでなく、安心してご利用いただくため、多くの不動産鑑定事務所で使われている基本鑑定報酬額表を元に、独自の報酬基準を設けております。
弊社では、事前に「どういった種類の不動産なのか」「依頼の目的は何か」など、お客様からお話を十分にお伺いした上でお見積もり(無料)をさせていただいております。
お見積もり後の営業などは一切ありません。
また、お客様より業務のご依頼がなければ、お見積もりまでの段階となりますので、費用はかかりません。
お見積もりご希望の方は「お問い合わせフォーム」から請求できます。
鑑定評価の報酬は原則的には自由に設定できます。業界の規定や義務はありません。
ただし、用地対策連絡協議会(用対連)に加盟している公共団体が公共用地の買収をする際には「用対連基準」があるため、これに則って報酬は決められています。
そのため、民間の鑑定評価においてもこの報酬基準を流用している鑑定業者もありますが、これでなければいけないというものではないのです。
一般的には、報酬体系は次のように定められております。
タイプ | 特徴 | 採用している鑑定業者 |
報酬基準型 | 鑑定報酬額表を基準とする | 多い |
積み上げ型 | 土地の大きさや複雑さなど、作業量を基準とする | 普通 |
定額型 | どんな物件でも一律料金 | 少ない |
定額型が一番わかりやすいのですが、これはなかなか採用できないのが本音です。
なぜなら、物件によって、手間(作業量=実働労働時間)が大きく異なるからです。
例えば、50㎡の小さな宅地を評価するのと、1haもある山林を評価するのとでは、所要時間が異なるのは当然です。そのため、定額型を取っている事務所では、評価内容を絞ったり、本来やるべき作業を簡素化するなどの手抜きがある事務所が多いのです。
近年、一般の方が簡単に不動産の価格を知る手段として、「一括無料査定(いわゆる仲介業者が行う机上査定)」といったインターネットサービスが出てきました。
そういった背景もあり、以前、こんなご相談を受けました。
「共有マンションを(売却ではなく)財産分与したいのだけど、よくある大手不動産会社の『無料査定』で金額を出すのと『不動産鑑定』ではどのような違いがあるのですか?」
その無料査定の値段には、大手不動産屋会社の思惑は入っていませんか?
本当に「お客様のことだけ」を考えて出された価値だと思いますか?
財産分与をするのに「無料」で査定されたものにどれだけの「真実味」があると思いますか?
何千万という金額をやり取りするのに、どこの誰かわからない人が「無料」で出した金額を信頼してしまって大丈夫ですか?
大手不動産会社の無料査定は、なぜ「無料」で提供されていると思いますか?
机上査定にしろ、訪問査定にしろ、不動産を適正に査定しようと思ったら、あらゆる意味でコストがかかります。
登記簿などの取得、現地調査、役所調査・・・それらのコストを無視した「無料サービス」には必ず「契約が欲しい」「営業としての囲い込み」などの裏の意味があると知るべきだと思います。
確かに不動産の無料査定は、売却の際の参考価格としてなら十分に価値があると思います。
ですが、財産分与などの大事の際に使用するのはいかがかと思います。
また、「査定」と「鑑定」という観点からみても大きな違いがあります。
不動産鑑定士は国家資格です。鑑定評価書には不動産鑑定士の名前が記され、誰がどのように鑑定し金額を出したのか明らかになっています。名前が記載されるということは、その金額に責任を持つということです。
また鑑定評価書は、税務関係や裁判などで立証資料にもなっていることからも分かるように、不動産査定よりも断然信頼性が高い内容になっています。これは不動産鑑定評価基準に基づいているため、算出された価格の根拠や理由についても明確に説明されているからです。
特に今回の場合、財産分与という大切な資産価値を求めるのに、無料査定に基づいて分与をしてしまうと、後々「実際はもっと価値があったんじゃないか?」「実は損をしたのではないか?」という思いを引きずってしまいます。
(実際、不動産会社の無料査定で出た金額をめぐり双方でもめて、裁判の際に鑑定評価を取るケースも見られます。)
不動産は大切な財産です。
「相続をすることになった」「不動産の分割をしたい」「公的機関へ資料を提出しなければならない」などなど・・・。
このような重要な事項を判断するための基礎資料として不動産の適正な価格を求めるならば、不動産会社の「無料査定」ではなく、公正で信頼のある「鑑定評価」をご利用頂くのが、いいのではないでしょうか。
例えば鑑定業者への報酬が30万円かかったとします。
確かに大きな金額です。
しかし、鑑定評価を利用しなかったならば、もっと大きな金額の損失があったかもしれません。
費用のことを理解していただくために、こんなストーリーを作ってみました。
Aさんは自己所有の不動産を売却したいと考えていました。
すると買い希望者Bさんが現れ、「5,000万円で買いますよ」と言ってくれました。
Aさんは20年前に3,000万円で購入したのだから、この値段で売れば2,000万円も得をするな、と思いましたが、とりあえず
「もう少し高くしてくれたら考えます」
と答えました。
するとBさんは
「5,500万円までならいいですよ」と言ってくれたので、Aさんは内心喜んで売却に応じました。
でも、Aさんは知りませんでした。
Aさんが売却した不動産の本当の価値は7,000万円であることを・・・。
これは一般の方々の売買で本当によくあるお話しです。
当初の値段よりも上げてくれたので、何となく得した気分で売ってしまった・・・。
この逆もあります。当初の値段から下げてくれたので得した気分で買ってしまった・・・。
でも、次のことを知ってください。
大切なのは、本当の価値がいくらなのかを知ることです。
上記例で言えば、Aさんは7,000万円の価値を知らずに売却してしまったために、その差額である1,500万円を損してしまっているのです。
もしあなたが自分の所有する不動産に7,000万円の価値があるということを知っていたら、Aさんのように5,500万円で売却しますか?
このような損失を防ぐために、鑑定評価を使って下さい。
また、鑑定評価書は必ずしも売買相手に見せる必要はありません。
自分の手の内に納め、鑑定評価額を基準に売買交渉に臨めばいいのです。
さて、ここでもう一度お聞きします。
鑑定業者への報酬が仮に30万円だとして、本当に高いですか?
鑑定評価を依頼しなかったために手に入れられなかった金額と比べてみて下さい。
これが費用の考え方です。
つまり、鑑定業者への報酬を30万円という絶対額で考えるのではなく、それを利用することによって得られる効果・効用を考えて依頼するのか否かの意思決定をすべきなのです。
依頼先を決める際の注意点はこちらから